マインドフルネスで心も身体も健康に。気楽に始めてみよう!

「瞑想」というと以前は、
仏教の修行など宗教由来のものやスピリチュアル的なものが連想されましたが、
近年、脳画像研究などさまざまな技術が発達し、瞑想の脳への効能が
科学的に証明され、宗教観のない、科学的根拠に基づいて考案された瞑想法が医療やビジネスに取り入れられています。

「マインドフルネス瞑想法」はそのうちのひとつで、
アメリカの脳医学博士のジョン ・カバット・ジン氏が考案した瞑想法です。

故スティーブ・ジョブズ氏、ビル・ゲイツ氏、イチロー選手などが実践したり、
Google、インテル、Yahoo!などのリーディングカンパニーをはじめ
日本でもたくさんの企業で研修やセミナーが実施され注目を集めています。

マインドフルネスとは?

マインドフルネス瞑想法は
マインドフルネスの状態になるための方法ですが、
では、マインドフルネスとはどんな状態なのでしょうか。

マインドフルネスとは、

「いま・ここ」に集中し、

今この瞬間に気づき、

固定観念などにとらわれず

「あるがまま」を受け入れる

ことです。

 

私たちは過去のことを思い悩んだり、
未来への不安にとらわれたりしますが
ストレスの半分はこうした思考(雑念)からつくられる、
「セルフストレス」といわれます。

昔から「風邪は万病のもと」といわれますが、
現代の万病のもとは「ストレス」と言えます。

心と身体は密接につながっていて、
心の健康なくして身体の健康はありません。

マインドフルネスで無駄な思考によるストレスから解放され、
脳をしっかりと休ませて活性化し、
心も体も健康になるのを実感してみませんか?

マインドフルネスを実践してみよう

マインドフルネスを実践するには、
「呼吸瞑想」が手軽にできて、
実践しやすいようです。

瞑想といっても大げさなものではなく、
ひたすら「自分の呼吸に意識的に集中する」だけです。

椅子に座っても、あぐらをかいても、電車の中で立ったままでもよく、
空いた時間に、一日5分~10分行うだけでも構いません。

呼吸瞑想の仕方

自然に呼吸し、
意識を呼吸に集中します。

注意がそれたことに気づいたら、
また注意を呼吸に戻します。

慣れて来たらだんだん時間をのばし、
一回で45分ほどできると理想的です。

ジョン・カバット・ジン氏はマインドフルネスを

「今という瞬間に、

余計な判断を加えず、(中略)

自分の人生がかかっているかのように真剣に、

意識して注意を向けること」

と定義しています。

初めのうちは雑念が湧いてきて
中々呼吸に集中できないものですが、
集中するポイントとしては
・息を吸った時の鼻を通る空気
・お腹が広がる感覚
・呼吸と呼吸の切れ目
・息を吐いた時にお腹が緩む感覚
・息の温度
などを感じて意識を呼吸にむけるようにします。
雑念が湧いてきたことに気付いたら、
また意識を呼吸に戻します。

マインドフルネス呼吸法のコツ

息を吐くときは鼻でも口でもいいそうです。
いわゆる腹式呼吸ですが、
腹式呼吸が苦手な方は胸式呼吸でもいいそうです。

余談ですが・・・
上達すると
お腹をへこませながら息を吸い、
緩ませながら息を吐くという「逆腹式呼吸」をする方もいるそうです。
逆腹式呼吸
初心者の私にはなかなか難しそうですが、
ある意味、呼吸に集中できるかも(^^ゞ

逆腹式呼吸は意識して腹筋を使うので
わずかながらシェイプアップ効果や
腸が刺激されて便通が改善するなんて効果もあるとか。(^^ゞ

さらに呼吸法の上級者は
鼻で息を吸いながら口から同時に息を吐くという、
信じがたい呼吸法(循環呼吸法)ができるそうです。

一般の方が瞑想する際には
ここまで必要ないそうですが
この呼吸法、音楽関係者には常識で
管楽器演奏者には必須なものらしいです。

よく息が続くなぁ~と思っていたけど
ちゃんと息を吸っていたんですね。
すごいなぁ。
(*慣れない呼吸法を無理に行うと危険ですので、十分にご注意ください。

これをトレーニングのように繰り返すことで、
実生活でも自分の注意をいつでも「今」に戻すことができるようになり、
感情や行動をコントロールしやすくなるといいます。

マインドフルネス瞑想の効果

瞑想のような、一定の呼吸を伴う単調でリズムのある運動は、
脳内にセロトニンという物質の分泌を促します。

セロトニンはイライラを和らげ、やすらぎや開放感をもたらせます

イライラすると貧乏ゆすりをしますが
これは単調な動きでセロトニンを分泌してイライラを抑えているのだそうです。

また、呼吸瞑想で呼吸(今)を常に意識できるようになると、
今何が大切なのかに気付くことで
余計な雑念に惑わされず、
今すべきことに思考が向いて
ストレスを感じなくなるようです。

 

脳の変化による効果

1. 海馬(かいば)

海馬の位置

瞑想を続けている人は、
海馬の灰白質の密度が増すことが
複数の脳科学研究で確認されています。

灰白質(かいはくしつ)とは神経細胞が集まっているところで、
灰白質が増すことは神経細胞が増すことを示すそうです。

このようにマインドフルネスは
感情をコントロールする海馬を活性化させ、
感情反応の調整を改善して肯定的な感情を安定して保ち
ビジネスでも必要とされるコミュニケーション力の向上
信頼関係の構築に効果的です。

 

海馬は学習や記憶を司る部位でもあります。
マインドフルネス瞑想の実践で
記憶力や学習能力が向上し、
成績アップ仕事の作業効率が高まり
判断力も向上すると考えられます。

 

2. 扁桃体(へんとうたい)

扁桃体の位置

さらに、瞑想することで
恐怖心や危機感を感じる神経経路の結びつきが弱くなるため、
恐怖や動揺を感じても大騒ぎすることなく、
冷静に判断を下すことができるようになるといいます。

不安・緊張・恐怖などのストレス反応やその他情動など、
感情のコントロールは、記憶を司る「海馬」から送られる情報を
扁桃体」で判断し処理しています。

 

この扁桃体での情動の関わる情報の処理結果は、まず自律神経機能とホルモン分泌の中枢である視床下部へ伝えられ、自律神経反応を引き起こして心臓の拍動が速くなり胃腸の動きも変化します。恐怖を引き起こすような刺激を受けたときは、同時に扁桃体から中枢へ情報が伝達され、すくみ上がるといった行動が引き起こされます。
扁桃体はそれが「快」であるか「不快」であるかのみ判断するため、とっさに下された評価が体に伝えられたのです。こうして人間の命に関わるような瞬時の大切な判断を体に伝えているのが扁桃体なのです。

「恐怖する脳、感動する脳」国立精神・神経センター神経研究所微細構造研究部 湯浅 茂樹氏より

 

つまり、扁桃体がストレス反応を起こすことで
私たちを生命の危険から守る仕組みになっているのです。

原始の時代、私たちの祖先にとって
扁桃体は狩猟・闘争する際に
戦闘・逃走モードになるために
とても重要な役割を果たしていました。

扁桃体の役目

 

ところが、現代の私たちはストレスが多すぎて
扁桃体が過敏になっていて、過活動をしてしまう傾向にあります。

扁桃体の過活動は、
感情のコントロールが難しくなる(キレやすい)、
血圧上昇、
動脈硬化、
2型糖尿病、
不眠、
うつ病、
呼吸器系へのリスク
などの要因になります。

さらに、過敏になった扁桃体は
誤作動してパニック障害を引き起こすケースも確認されています。

このように過剰に反応してしまう扁桃体の活動を
マインドフルネス瞑想の実践で抑止することができ、
扁桃体そのものの密度も小さくなることがわかっています。

扁桃体の活動は、扁桃体が発する情報を冷静に認知・分析することで
抑止できる傾向があります。

例えば、危険-恐怖-不安といった感情が湧いたとしたら、
「怖くない。大丈夫」などと、
無理に感情をコントロールしようとするのではなく、
今現在の自分の感情や状況を観察する自己の存在を意識し、
第三者的に、遠くから観察し認知・分析することで
扁桃体の情報を管理し抑制する、というわけです。

これは、冒頭でお話しした、まさにマインドフルネスの状態、
『今この瞬間に気づき、
固定観念などにとらわれず
あるがままを受け入れる』ことといえます。

マインドフルネスは扁桃体の過剰な活動を抑えることで、
先述の過活動による症状の予防・改善のほか、
不安や恐怖が消えて気持ちが前向きになり
リラックス効果によって自律神経も整います

 

3. 内側前頭前野と後帯状皮質

内側前頭前野と後帯状皮質の位置

一般的に脳は集中した時に疲れ、
何も考えていないときは休んでいると考えられていましたが、
最新の研究では、意識的に活動していない時に消費する脳のエネルギーは
脳の全消費エネルギーの60~80%で、
意識的な活動の数十倍ということがわかっています。

これは、脳がこれから起こり得る出来事に備えるために、
様々な脳内の領域を繋ぐ脳内ネットワークの活動を統括して
アイドリング状態を保っているからデフォルト・モード・ネットワーク=DMNです。

休んだはずなのにスッキリしないのは、このDMNが理由です。

 

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)

 

DMNが働くと、脳内の内側前頭前野後帯状皮質
情報のやりとりを絶え間なく行い、
頭の中では常に、潜在意識の中でいろいろな雑念が浮かんだり消えたりを
繰り返しています。

潜在意識の中で浮かんでくるこのさまざまな雑念は
脳の疲労の最大の原因で、ストレスの要因になります。

 

瞑想はDMN時に活発になる内側前頭前野と後帯状皮質の活動を
抑えるというデータがあります。

つまり、雑念を抑えることで、
脳を休め、ストレスを軽減することができるのです。

「コルチゾール」とはストレスによって分泌される物質で、
免疫機能の低下や血圧・血糖を高め、認知症、うつ病、
不定愁訴や不妊の原因となります。

ストレスが軽減することで、これらの症状も予防・改善され、
免疫力も上がり、健康維持につながりますね。

 

健康家族

また、コルチゾールが増えると、
若返りホルモンのDHEAが減ります。

コルチゾールとDHEAはシーソーのような関係で、
コルチゾールが減るとDHEAは増えます。

ストレスの軽減は
コルチゾールの分泌を減らして
若く美しくなるホルモン(DHEA)を増やし
アンチエイジングにもなります。

 

遺伝子の変化による効果

健康家族

マインドフルネス瞑想は遺伝子の活動にも変化を及ぼすことが
ウィスコンシン大学の教授により報告されています。

RIPK2という遺伝子の活動が、
マインドフルネス瞑想をしたグループの人は減少し、
マインドフルネス瞑想をしなかったグループの人は変化がなかったのです。

遺伝子の活動が減少する」とは、「遺伝子の発現が減少する」という意味で、
遺伝子の設計図に基づいて体内で作られるたんぱく質の量が減少するということだそうです。

RIPK2は炎症を誘発する遺伝子で、
慢性の炎症に関わっています。

慢性炎症は様々な細胞の老化スピードを早め
動脈硬化などの原因となり、心筋梗塞などの生活習慣病につながります。

また、肥満・がんがあるときは、弱い炎症が続いている状態です。

RIPK2の発現量が減少するというこは、
マインドフルネスはこれらの炎症を抑え、
健康維持とともにダイエット
アンチエイジングの効果も期待できるかもしれませんね。

 

まとめ

マインドフルネスの効果はとにかくたくさん報告されていて、
いろいろな可能性が期待されています。

 

「自分の心」と書いて「息」、
息は自分の心の状態と言われます。

心は息を整えることでコントロールすることができます。
心を落ち着かせるために深呼吸するというのは分かりやすい例ですね。

 

呼吸瞑想はとてもシンプルなので、
もし興味が湧いたら、難しく考えずに
とりあえず実行してみてはいかがでしょうか?

一日の中で、少しだけ心を静めて自分自身に意識を置いてみる・・・

私も最近はじめたばかりですが、
ゆっくり呼吸しているだけで
気持ちが落ち着いてきますよ(^^♪

 

マインドフルネスに期待する効果

脳の疲労回復、ストレス軽減、

リラックス効果、自律神経を整える、

不眠解消、免疫力アップ、健康維持、

うつ病・認知症・高血圧・動脈硬化などの予防・改善、

集中力・判断力アップ、

学習能力・記憶力アップ、

コミュニケーション力のアップ、

感情のコントロール力のアップ、

仕事・スポーツのパフォーマンス向上、

オキシトシン(幸せを感じるホルモン)の分泌、

アンチエイジング、ダイエットなど。