張掖丹霞地貌~中国のカラフルな山に行こう‼

張掖丹霞地貌(中国のカラフルな山)

広大な国土を誇る中国には、悠久の歴史と大自然が織りなす絶景がたくさんありますが、祁連(キレン)山の北麓に広がる「張掖丹霞地貌」では、地球の息吹と大地のエネルギーが強く感じられる雄大な景色を見ることができます。

ちょうえき たんか ちぼう
張掖丹霞地貌 

七彩丹霞

張掖丹霞地貌(七彩山)

「七彩山」とも「レインボウマウンテン」とも呼ばれるこの丘陵は、
総面積510km²にも及び、様々な鉱石を含む赤い堆積岩が隆起したもので、
日の光を浴びることによって七色に輝きます。

遥かむかし、この地には湖があり
周囲の山から鉄分などを含んだ砂岩等が流入し堆積したのが
およそ1億1000万~1億年前(白亜紀)で、その後時代により
気候や水中・成分環境が変わったために異なった鉱物組成によって
七色の地層ができました。

そういえば、遠い記憶のかなたに、
鉄の色について学んだような・・・。
酸化鉄は赤、硫化鉄は黒、黄色は… ん?酸化鉄??
とにかく。鉄は様々な条件下で、
異なった色を見せる・・・。
大雑把(#^.^#)。
ここの丹霞は鉄分を含んだ層が
他の色々な物質と化合して発色しているそうです。

張掖丹霞地貌(七彩山)
夕陽に紅く染まる七彩山
地層は湖の底では、ほぼ水平に堆積していましたが、
約300万年前の強力なヒマラヤ造山運動がキレン山脈を北東に押し出したことで、堆積層が圧迫され、波状に変形しながら隆起し、脱水固結して泥石・シルトストーンの層になりました。
その後大雨や流水によって浸食され、重力の作用も加わり、
起伏のある現在のような地形になりました。

このように、七彩山の岩盤のほとんどが柔らかいシルトストーンや粘土質の岩で成り立っているため強度はあまりなく、地層の表面をよく見てみると、雨で溶けた泥が垂れて固まっているところがあります。

雨があまり降らない乾燥地区にあるのでなんとか形を保っているものの、
異常気象などで雨が続いたり、大雨でも降ってしまったら、流されて崩壊してしまうそうです。

降雨量が無いといっても、浸食と風化は今も少しづつ進んでいて、
最終的には穏やかで丸い丘陵の地形になると言われています。
(CHINA SCIENCE COMMUNICATION「科学百科」より)

氷溝丹霞

張掖丹霞地貌には、七彩丹霞のほかに
「氷溝丹霞」と呼ばれる景勝地があります。

七彩丹霞の色彩美に対して、
氷溝丹霞には自然の造形美を見ることができます。
隆起した地形が年月を経て自然に侵食され、奇岩となってそそり立つ景観は圧巻です。

張掖丹霞地貌(氷溝丹霞)

岩の形は様々で、断崖を基本として、キノコの様な岩、穴の開いた岩、
柱廊形、ギリシア神殿を思わせるような広大なものまで多種多様です。

張掖丹霞地貌(氷溝丹霞「ルーブル宮殿」)
「ルーブル宮殿」と名付けられた奇岩群

どの奇岩の頭にも、帽子を被ったような層が見られますが、
この層(集塊)は粗い粒子をたくさん含んでいてとても硬く、
岩を浸食から守る役目をしています。

張掖丹霞地貌(氷溝丹霞)の集塊

雨で泥が流れて地層が見えないところがありますね。
新たな土柱ができかけているところも見えます。

遥か昔この地にあった湖に、
キレン山脈の氷と雪が溶けてできたいくつもの川が合流し、
巨大な赤い層を形成した後、隆起、低地へと流れる水や雨、
風によって浸食され、柔らかい泥石のほとんどが流れてしまい
消えましたが、集塊によって保護された泥石はそのまま残って
現在みられる奇岩を形成していったそうです。
(CHINA SCIENCE COMMUNICATION「科学百科」より)

平山湖大峡谷

張掖丹霞地貌の景勝地は、
実は、3つあります。

3つ目の景勝地「平山湖大峡谷」も、
長年の風雨による浸食により
深い峡谷が形造られた赤い層の地形で
東洋のグランドキャニオンともいわれる景観が広がっています。

張掖丹霞地貌(平山湖大峡谷)

峡谷の底へは降りることができ、
狭い小道など自由に散策できて、
ちょっとしたアスレチック気分で自然を楽しめます。

張掖丹霞地貌・平山湖大峡谷の谷底
谷底へは800メートルほどあり、
出口はスタート地点に戻らなくてはならないので、
帰り道はひたすら山を登らなくてはならないという、体力勝負の試練、
いや、大自然を身をもって感じることができます。

途中、傾斜85度の金属製の階段(というより、はしご)があって、
ショートカットっぽいですが、その長さが33メートル超えらしく、
スリリングな外観で、衝撃的です(^-^;

張掖丹霞地貌・平山湖大峡谷の傾斜85度の金属製の階段(はしご)

凹んでるところがあるΣ(゚Д゚)・・・

トライする方は手袋をお忘れないように。

張掖丹霞地貌(平山湖大峡谷)

乾燥地区ですがあたりには植物も生えていて、
この周囲の山には小さな草原もあり、
観光中の山でもヤギなどの野性動物を見かけることがあるそうです。
この区域には、なんと、80種類以上の野生動物や鳥が生息しているそうです。

大峡谷のある平山湖蒙古族村は、張掖市中心から東へ約58㎞にあり、
すぐ北は内モンゴル自治区の砂漠です。
古来、この地はシルクロード・河西回廊に入る重要な地点であり、
交易路として多くのキャラバンがラクダを連れて山道を往来したそうです。

砂漠とラクダの影

平山湖蒙古族村には、
いくつかの少数民族のグループが混ざり合って暮らしていて、
その大多数はモンゴルの方ですが、
多民族で多様な文化の特徴を形成しています。

公園内では、民芸品に触れたり
民族料理が食べられたりでき、
雄大な自然の風景を楽しむだけでなく
彼らの文化を体験できる施設もあるそうですよ。

張掖丹霞公園の場所

丹霞公園のある張掖は中国の北西部、甘粛省(かんしゅくしょう)にあります。

張掖丹霞地貌の場所

 

七彩丹霞公園
張掖市(中心)から約33㎞
園内はシャトルバスで移動、
遊歩道を散策しながら展望台へ
一般開放:2008年

氷溝丹霞公園
張掖市(中心)から約54㎞
すでに開発した部分は約10km
観光時間は2~3時間ほど
公園内は小西天景区と大西天景区にわかれており、シャトルバスで移動、
観光区域の遊覧歩道に沿って展望台へ

平山湖大峡谷
張掖市(中心)から約58km
平山湖蒙古族村にある「張掖平山湖地質公園」にある。
峡谷の海抜は1500〜2550メートル
一般開放:2014年5月

※どの公園もとにかく歩きます。体調管理にはご注意くださいね。

丹霞地貌

中国語で「丹」は赤・朱色を意味し、
「霞」は夕焼けなどで空が紅色に染まる現象のことで、
「丹霞(たんか)」とは、赤色に染まった堆積岩が織り成す地形のことをいいます。

地質学的には、丹霞地貌(丹霞地形)は、赤い堆積岩が隆起した地形で、
浸食などによって形成された断崖が特徴的とされていますが、
地形を構成する岩の種類や
地形の形成過程などについての
より具体的な定義については様々で
定義論争されています。
(「CHINA SCIENCE COMMUNICATION・科学百科」より)

中国で発見されたこのような地形の数は1,000を超え、
中国全国に広く分布しています。
世界では、アメリカ西部の、
グランドキャニオンは典型的で有名ですね。
その他、中央ヨーロッパ、オーストラリアなどでも見ることができます。

中国の丹霞地形には個性的な美しさがあり、6箇所の丹霞地形が
「中国丹霞」として、2010年に世界遺産登録されています。
(広東省の丹霞山、福建省泰寧県、江西省の龍虎山、湖南省の莨山、浙江省の江朗山、貴州省赤水市)
登録された丹霞地形は、それぞれ特色を持っていて、形成期毎の特徴をみることができると言われています。

中国の地形・シルクロード・丹霞景勝地

張掖とシルクロード

張掖は、北はゴビ砂漠、南は祁連(キレン)山脈に挟まれ、西へと続く古代シルクロード上にあり、交易の都市として栄えてきた街のひとつです。

張掖の歴史は古く、このあたり一帯を支配していた匈奴(遊牧民)を漢の武帝が破り、西域進出の足掛かりとして河西四郡(現在の武威・張掖・酒泉・敦煌)を設けたのが始まりです。
張掖は紀元前111年に設置されました。

シルクロードと河西四群

河西四郡が設置されたことにより、
東洋と西洋の交流が本格化したシルクロードが開通したといわれ、
現在「河西回廊」と呼ばれる(黄河の西に位置する)この回廊は、
政治・経済的交流を進め、仏教や文化などが往来する国際路になりました。

河西回廊はあの玄奘三蔵法師も天竺へと辿った路で、仏教を伝えた路です。
「東方見聞録」で知られる、アジア各地を旅したマルコ・ポーロは、
張掖で約1年間を過ごしたそうです。

 

太古から続く大地を踏みしめ雄大な景色を眺めながら
自然の驚異と遥か遠い昔の世界に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

張掖丹霞地貌(七彩山)