パワースッポットの旅 伊勢の小話
「伊勢神宮に人が住んでいた!?」
こんにちは!
得得サイトです。
今回は伊勢神宮の火除橋にかかる小話をご紹介します。
火除橋
伊勢神宮の橋と言えば誰もが内宮の宇治橋を思い浮かべると思いますが、
宇治橋の他にも「風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)」と「火除橋(ひよけばし)」があります。
地図を見るとよく分かりますが、内宮も外宮も川に囲われています。
火除橋がかけられた川は、火災が起きたときに神域にまで火が及ぶのを避けるために作られた掘川で、石で固めた溝をつくり水をひいたそうです。
火を除けるために架けられた橋だから「火除橋」と呼ばれるんですね。
火事
火除橋は江戸時代に造られたそうです。
江戸時代といえば、江戸では「火事と喧嘩は江戸の華」などと言われて大火が頻発したといいますが、ここ伊勢でも少なくとも2回、慶安元年(1646年)12月と寛文10年(1670年)11月に大火事があったという記録がありました。特に寛文10年の大火は「鉈(なた)屋火事」といわれ悲惨なものだったようです。
オレンジの四角が外宮で、
黄色い四角が月夜見宮です。
西から東へ(矢印の方向へ)と燃えていったそうで、なんと、月夜見宮も被害にあったと書かれています。(詳細は下記をご参照ください。)
地図は伊勢市御薗町「山田奉行所記念館」特別展で紹介されたものです。
伊勢国山田、寛文の大火「鉈屋火事」
夜四つ半(23時ごろ)、山田上中郷出屋敷(現・伊勢市常磐町)鉈屋世古(せこ=狭処→細い道、小路)に住む未亡人の独り住まいから出火、炎は折からの冬の伊勢地方特有な強い西風にあおられて延焼した。
火は浦の橋から上中郷一帯に燃え広がり、曽禰、一之木、一志久保と東へ延焼、次いで宮後西河原、下馬所前野、岩渕、岡本及び小田橋と山田の市街地を焼き尽くし、翌朝五つ半ごろ(9時ごろ)ようやく鎮火した。
神社では月夜見宮が炎上したが御神体は運び出すことができたという。また、伊勢神宮の御師(おんし)で山田奉行の下で山田の統治に当たっている三方家、24家のうち19家が焼失している。
49人が死亡、山田惣中(自治区域)9768軒の約6割、5743軒が焼失、土蔵1177棟、寺院189が焼失するという未曽有の大火であった。
(出典 荒木駿著「記録が語る伊勢市の災害」、宇治山田市編「宇治山田市史」)
慶安の火事の2年後(1648年)に火除橋がかけられている堀川が施され(外宮)、
「鉈屋火事」の翌年(1671年)にはその外側(下の地図でいうと黄色い地帯)に火除地が幅15間(約25.5メートル)で整備されたそうです。
こんな大火事があったら、そりゃ防災しますよね。
しかも江戸時代は、なんと、伊勢神宮の神域である境内に人が住んでいたそうなんです!
江戸時代の伊勢神宮
伊勢神宮の境内に民家が建っていたなんて、今では考えられないですよね。
しかもその数が半端ない!
手前に五十鈴川が流れていて、左端に宇治橋があります。
そして宇治橋を渡ったところにびっちり、民家が立ち並んでいますΣ(゚Д゚)
外宮にもありますね〜。
左手前に一の鳥居、右上下に火除橋があり、右手前に民家がびっちり。
右上に火除地として整備されたはずの場所にも民家らしきものが見えます。
内宮も外宮もこれだけ近くに民家がひしめいていたら、火事になったらと思うと怖いですね。
民家からの出火による延焼を防ぐために火除橋(堀川)は必要だったということです。
宇治橋の内の民家は明治初期まであったそうですが、神苑会によって神苑整備された時に退去となったそうです。
火は人間の生活には欠かすことが出来ないものですが、
取り扱いを間違えると災いが起こります。
火の恵みに感謝しつつ、安全に取り扱いましょう。
パワースポット
今回は「橋」のお話だったので、宇治橋のパワースポットについてご紹介します!
みなさん、宇治橋で擬宝珠を摩っている人を見かけたことはありませんか?
大鳥居から見ると左側2つめの擬宝珠、この中に饗土橋姫神社(あえどはしひめじんじゃ)のお札「萬度麻(まんどぬさ)」が収められているんです。
饗土とは、内宮宮域四方に悪しきものが入ってこないように饗応(きょうおう=酒や食事を供してもてなすこと)の祭をする場所のことで、式年遷宮の宇治橋「渡始式」の折には、この饗土橋姫神社の前で祭典が斎行されます。
饗土橋姫神社は宇治橋鎮護の神さまをお祀りしていますが、京都の宇治橋を守る「橋姫神社」(御祭神:瀬織津姫命)に倣って創建されたといわれています。
ということは、宇治橋の神さまは瀬織津姫命?
瀬織津姫命はお祓いをしてくださる「祓戸の大神」4柱のうちの1柱です。
宇治橋の安全と渡る人の無事・安全を祈願してお札を収めているそうですが、祓戸の大神であられるので、いろいろなお祓いのご利益もあるかも?
宇治橋は右側通行なので、帰る際は最後から2番目になります。みんなに摩られているのでてかてかしているし、黒いところに文字も刻まれているので、すぐ分かります。
この擬宝珠に触るとまた参拝に来られるそうです。